第1回 社会人特別講義 加藤牧菜先生

2017年度が始まって早3か月が経とうとしています。そろそろ梅雨が始まるのでしょうか。湿度が高くなってきました

さて!音楽教育専攻では、年に56回不定期で学外から講師をお招きして自分たちのキャリアについてお話し頂き、学生たちが自身の将来について考える機会があります。今回は、加藤牧菜先生をお招きして、「自分の手でコンサートを作る」というテーマでお話し頂きました

先生の現在のご職業は、演奏会を主催、企画、時には司会進行までなさる音楽プロデューサーですが、もともとは筑波大学で生命倫理学を修め、博士号まで取得なさったバリバリの理系女子ですそんな先生がどうして音楽の世界へ飛び込んだのか、「自分の手で」コンサートを作ると言うのはどういうことか等について伺いました。終始笑いの絶えなかった当日の雰囲気をお伝えできず残念ですが、ここでは「集客」についての先生のお話しを簡単にご紹介したいと思います

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突然ですが、皆さんはご自身の演奏会の為にどのようにしてお客さんを集めますか

例えば、素晴らしいコンクール歴を持ち、一流のオーケストラに所属し、技術も音楽性も申し分ないのに、自分の演奏会にお客様を20人呼ぶのがやっとということがある一方で、有名でもなければ小さいころから音楽をやっていたわけでもないアマチュア奏者が、リサイタルをするというとチケット約200枚が完売することがあります。

どうしてでしょう

実は、その200人のお客さまは、演奏するのが「その人だから」来て下さったのですつまり、奏者本人が人を呼んでいるのです。音楽プロデュースの現場では、「名人よりも近くの未熟」の方が、集客力が有ったりするものです。自分に自信が無くてもいいのです。未熟ながらがんばっている姿を人に見せることで応援してくれる人ができます。その人たちがあなたの応援団となり、サポーターになって下さるというわけです。この場合、大衆向けの大きな広告よりもはるかに口コミが効果的だそうです。「よかったわよ」と一人のお客さんが友達に伝えて、次はその友達と来てくれるかもしれません!


では、「集客」って口コミに頼ることなのでしょうか

仮にある人に友人、知人が全部で100人居たとします。その内音楽が好きな人が50人、音楽が好きな人の中で自分の演奏会に来てくれる人が15人だったとします。お客様を増やそうと思って、音楽が好きな50人にPRして自分の演奏会へ全員に来てもらうようにすることは実は簡単ではありません。むしろできないと思った方が良いです。音楽と一口に言っても、それぞれに個人的な趣味があって、彼らの趣味・嗜好を変えることはできないからです。

では、どうするか。

不思議なことに、この1005015という割合は人によってある程度固定しています。ですから、元になる母体を大きくする、要するに、友人・知人を増やせば、自然に音楽が好きな人が増え、自分の演奏会に来てくれる人が増えるという仕組みです。これが、私が200以上の音楽会を企画した結果得られた法則です。ですから皆さん、あらゆる機会を通じて、まずは友達の輪を広げましょう!!演奏家は練習室にこもって練習しているだけではダメなのです!!!
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演奏会には聴衆が欠かせません音大生が自分の演奏会を企画することはよくあることですが、「自分の手で」集客して初めて「自分の」コンサートと呼べるのだと言う加藤先生のお話は、重いものがありました集客の大切さと難しさを一度に学べた講義でした!

次回の社会人特別講義は、67日(水)に「これからの働き方+α」というテーマで、宮田順子先生をお招きして行います。加藤先生とは全く違う経歴をお持ちの方なので、どのような講義になるか今から楽しみです

執筆者:事務助手 福本カナコ

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